「マスコミに取り上げられたい」と思っても、どうアプローチすれば良いか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。テレビや新聞、ウェブメディアに掲載されれば、広告費をかけずに多くの人へ自社の商品やサービスを知ってもらうチャンスになります。
しかし、毎日膨大な情報が飛び交う現代では、記者の目に留まり、実際に取材や掲載につなげるには戦略的なアプローチが必要です。
本記事では、プレスリリース配信から直接アプローチ、SNS活用まで、マスコミに効果的に取り上げてもらうための方法と実践ポイントを詳しく解説します。小規模企業でも実践できる具体的な手法から、よくある質問まで網羅的に紹介しますので、広報活動の参考にしてください。
マスコミに取り上げてもらうには?3つの効果的なアプローチ法

マスコミに取り上げてもらうには、以下の3つのアプローチが効果的です。
- プレスリリース配信で効率的にメディアにアプローチする
- 新聞社・テレビ局へ直接企画提案をする
- オウンドメディアとSNSを活用して間接的にアプローチする
プレスリリース配信で効率的にメディアにアプローチする
プレスリリース配信サービスを活用すれば、一度に多くのメディアに情報を届けられます。PR TIMESやValuePressなどのサービスは比較的低コストで利用でき、数百のメディアに一斉に情報発信できる利点があるでしょう。
配信時には、見出しで興味を引き、本文で詳細情報を過不足なく伝えることがポイントです。また、記者が追加で質問しやすいよう、担当者の連絡先も明記しておきましょう。
配信後は問い合わせにすぐ対応できる体制を整えておくことも大切です。
新聞社・テレビ局へ直接企画提案をする
より確実にマスコミに取り上げてもらいたい場合は、狙った媒体へ直接企画を提案する方法が効果的です。まずは対象メディアの過去の記事や番組内容をリサーチし、そのメディアが好む切り口や表現スタイルを研究しましょう。
そして担当記者の連絡先を調べ、簡潔かつ魅力的な企画書を作成してアプローチします。最初は簡潔なメールで概要を伝え、興味を示してもらえたら詳細資料を送るという段階的なアプローチも有効です。
媒体の特性に合った企画内容であれば、取り上げられる可能性も高まるでしょう。
オウンドメディアとSNSを活用して間接的アプローチする
自社ブログやSNSで魅力的なコンテンツを継続的に発信することで、メディアの目に留まるチャンスも増えていきます。記者も日々ネタを探しており、話題性のある投稿や独自の視点を持った記事は取材のきっかけになることがあります。
また、特定のハッシュタグを活用したり、記者が多く利用するTwitterなどで情報発信したりすることも効果的でしょう。地道な情報発信が実を結び、予想外の取材依頼につながることもあるのです。
間接的なアプローチとしてオウンドメディアとSNSの活用は見逃せません。
マスコミに取り上げてもらうための5つの実践ポイント

マスコミに取り上げてもらうために意識すべきポイントを5つ紹介します。
- メディア目線で考え、宣伝ではなく「広報」に徹する
- プレスリリース作成では基本を抑える
- 配信のタイミングを見極める
- データと裏付けて信頼性を高める
- 新聞社・メディアの閑散期を狙ってアプローチする
メディア目線で考え、宣伝ではなく「広報」に徹する
メディアは単なる宣伝記事には興味を示しません。彼らが求めているのは、読者や視聴者にとって価値ある情報です。
自社の宣伝ではなく、社会的意義や市場への影響、一般の人々の生活をどう改善するかといった視点で情報を整理しましょう。例えば、新商品の発表でも「業界初の技術」「社会問題の解決につながる」など、ニュース性のある角度から伝えると効果的です。
「なぜこれがニュースなのか」というメディア目線で考えれば、取り上げられる確率が高まります。宣伝色の強い表現は避け、客観的な事実を中心に伝える姿勢を貫きましょう。
プレスリリース作成では基本を抑える
効果的なプレスリリースには、基本的な要素が欠かせません。見出しには要点を簡潔に盛り込み、本文では5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を明確に記載します。
特に冒頭部分で核心を伝え、詳細は後半に回す「逆三角形」の構成が望ましいでしょう。専門用語や業界特有の表現は避け、誰にでも理解できる平易な言葉を使うことも重要です。
また、具体的な数字や事例を盛り込むと説得力が増します。画像や図表も効果的に活用し、視覚的にも訴求力のある内容を心がけましょう。文章は簡潔に、一文一義で読みやすさを重視することがポイントとなります。
配信のタイミングを見極める
プレスリリースの配信タイミングは、マスコミに取り上げられるかどうかを左右する重要な要素です。一般的に週の前半、特に火曜日から木曜日の午前中が記者の目に留まりやすいとされています。
逆に金曜日の午後や週末は避けた方が無難でしょう。また、大きなニュースや国家的イベントと重なる日は埋もれてしまう可能性があるため、カレンダーをよく確認することが大切です。
季節商品なら発売の1〜2ヶ月前、イベントなら開催の2週間前など、メディアが取材・編集する時間も考慮してタイミングを計画すると良いでしょう。ニュースの流れを読み、最適なタイミングで配信することが成功への近道かもしれません。
データと裏付けで信頼性を高める
メディアが重視するのは信頼性の高い情報です。具体的な数字や独自調査のデータ、第三者による評価など、客観的な裏付けを盛り込むことで、記事の説得力と信頼性が高まります。
「当社調べでは〇〇%の人が実感」より「△△研究所の調査によると〇〇%の人が実感」の方が信頼度は上がるでしょう。また、業界データや市場動向と関連付けることで、社会的文脈の中での位置づけが明確になります。専門家のコメントや利用者の声も有効な裏付けとなるでしょう。
誇張表現は避け、検証可能な事実を中心に構成することで、記者からの信頼を獲得し、取り上げられる確率が高まります。
新聞社・メディアの閑散期を狙ってアプローチする
年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みなどの長期休暇前後は、メディア業界でもニュースが少なくなる「閑散期」となります。こうした時期は記者もネタを探しており、普段なら見過ごされるような情報でも取り上げられやすくなるチャンスです。
特に地方紙や専門誌は、大きなニュースが少ない時期に企業情報を掲載する傾向があります。また、月初めや四半期の始まりなど、紙面構成が決まる時期を狙うのも効果的でしょう。
ただし、閑散期だからといって内容の質を落とすのではなく、タイミングと内容の両方で勝負することが重要です。メディアのサイクルを理解して賢くアプローチすれば、露出のチャンスが広がるかもしれません。
マスコミに取り上げてもらいやすいネタ選びと戦略的なタイミング

マスコミに取り上げてもらいやすいネタやタイミングをここで確認しましょう。
高確率で取り上げられる8つのプレスリリースネタ
マスコミが飛びつきやすいネタには、いくつかの共通点があります。
- 業界初・日本初・世界初の取り組み
- 社会問題の解決につながる製品やサービス
- 季節やトレンドに関連した話題
- 地域に根ざした活動や地域貢献
- 独自の市場調査結果や意外性のある統計データ
- 著名人とのコラボレーション
- 意外性のある情報や常識を覆す取り組み
- 企業の周年記念や販売数のマイルストーン
まず「業界初」「日本初」「世界初」など、先進性や独自性をアピールできる取り組みは注目を集めやすいでしょう。次に環境問題や高齢化など社会課題の解決につながる製品・サービスも価値があります。
季節の行事やトレンドに関連した話題、地域に根ざした活動や地域貢献も地方メディアを中心に取り上げられやすいでしょう。また独自の市場調査結果や意外性のある統計データ、著名人とのコラボレーション、企業の周年記念や販売数のマイルストーンなども記事になりやすいネタです。
自社の強みと掛け合わせて、記者の興味を引く情報を発信することが大切です。
メディア露出を最大化するタイミングと配信戦略
メディア露出を最大化するには、戦略的なタイミングと配信計画が欠かせません。競合他社の大きな発表と被らないよう業界カレンダーをチェックし、逆に関連する大きなニュースが出た直後に追加情報として配信するのも効果的です。
朝の情報番組のネタ決めが行われる前日午後、夕刊に間に合う午前中など、メディアの制作サイクルを意識したタイミング選びも重要でしょう。また一度に全情報を出すのではなく、「予告→本発表→追加情報」と段階的に情報を小出しにする方法も、継続的な露出につながります。
さらに同じ内容でも業界紙、全国紙、地方紙など媒体ごとに角度を変えたアプローチをすることで、より多くの露出機会を創出できるでしょう。
マスコミに取り上げてもらうときによくある質問

最後にマスコミに取り上げてもらうときによくある質問を紹介します。
- プレスリリースを送ったのに取り上げてもらえないのは何が原因でしょうか?
- マスコミに取り上げてもらうのに費用はかかりますか?
- 小規模企業でもマスコミに取り上げてもらえる可能性はありますか?
- 取材を受ける際の準備や注意点を教えてください
プレスリリースを送ったのに取り上げてもらえないのは何が原因でしょうか?
プレスリリースが取り上げられない原因はいくつか考えられます。まず最も多いのはニュース性の不足です。
自社にとっては画期的でも、世間やメディアからすると「それが何か?」と思われる内容かもしれません。また配信タイミングの問題もあるでしょう。
大きなニュースと重なった、忙しい時間帯に送った、締切に間に合わなかったなどが考えられます。表現面では、見出しのインパクト不足や、専門用語の多用で内容が伝わりにくいケースもあります。
さらに、ターゲット設定の誤りも原因になり得ます。内容と媒体の相性が合っていない可能性もあるでしょう。改善するには、記者の立場に立ち、なぜ彼らがこの情報を取り上げるべきなのかを明確にすることが大切です。
マスコミに取り上げてもらうのに費用はかかりますか?
基本的にマスコミへの掲載は無料ですが、関連する費用は発生する場合があります。まず、PR TIMESなどのプレスリリース配信サービスを利用する場合は、月額料金や1配信あたりの費用がかかります。
また、PR会社やコンサルタントに依頼する場合は、企画立案から取材対応までのコンサルティング費用が発生するでしょう。重要なのは、一般的な報道として取り上げてもらう場合、メディアへの掲載料は発生しないということです。
これは「記事広告」とは異なります。記事広告は広告枠を購入して記事風に仕上げるもので、明確に広告である旨が記載されます。純粋な報道として取り上げてもらう場合と、有料の記事広告を出す場合の違いをしっかり理解しておくことが大切でしょう。
小規模企業でもマスコミに取り上げてもらえる可能性はありますか?
小規模企業でも十分にマスコミに取り上げてもらえる可能性があります。実際、メディアが重視するのは企業規模ではなく、提供する情報の価値や独自性だからです。
むしろ小規模企業ならではの機動力や、地域に根ざした取り組み、大企業にはない柔軟な発想などが魅力となり、記事化されることも多いでしょう。独自のニッチ市場を開拓している、伝統技術を現代に活かしている、社会課題に独創的なアプローチで挑んでいるなど、ストーリー性のある取り組みは特に注目されやすいと言えます。
小規模だからこそのユニークな視点や価値観を前面に出し、大企業とは異なる切り口でアプローチすることが成功のカギかもしれません。諦めずに情報発信を続けることで、思わぬ機会が訪れることもあるでしょう。
取材を受ける際の準備や注意点を教えてください
取材を成功させるためには、事前準備が欠かせません。まず想定質問への回答を準備し、伝えたい3つの核心ポイントを簡潔にまとめておきましょう。
専門用語は極力避け、誰にでもわかりやすい表現を心がけることも重要です。取材場所の整理整頓や、視覚的に訴えるデモンストレーションの準備も効果的でしょう。服装も媒体や取材内容に合わせて適切なものを選びましょう。
取材中は質問の意図を正確に理解し、簡潔に答えることを心がけます。不明点があれば「確認して後ほどお答えします」と正直に伝えるほうが信頼性は高まります。
また、取材後のフォローも忘れずに。追加情報の提供や、掲載・放送日の確認なども丁寧に行うと良いでしょう。事前に社内で模擬インタビューを行うと、より安心して本番に臨めるかもしれません。
マスコミに取り上げてもらうためのPR戦略まとめ

マスコミ露出を成功させるためには、戦略的かつ継続的なアプローチが欠かせません。本記事で紹介したように、プレスリリース配信、直接提案、SNS活用といった複数の手法を組み合わせながら、メディアにとって価値ある情報を提供し続けることが重要です。
- 複数のアプローチ法を組み合わせる
– プレスリリース配信、直接提案、SNS活用を効果的に併用する - メディア目線で価値ある情報を提供する
– 単なる宣伝ではなく、社会的意義や読者・視聴者の興味を引く内容を考える - 基本を押さえたプレスリリースを作成する
– 5W1Hの明確化や分かりやすい表現で情報を整理する - 配信タイミングを戦略的に選ぶ
– メディアの制作サイクルや業界動向を考慮した効果的なタイミングで発信する - データや第三者の声で裏付けを取る
– 具体的な数字や客観的評価で情報の信頼性を高める - メディアの閑散期を活用する
– ニュースの少ない時期を狙うことで掲載確率を上げる - 取り上げられやすいネタを選定する
– 「初」「意外性」「トレンド」などニュース性の高い要素を盛り込む - 継続的な情報発信と関係構築を行う
– 一度や二度の失敗であきらめず、メディアとの信頼関係を徐々に築いていく - 取材対応の準備を怠らない
– 想定質問への回答準備や核心ポイントの整理で効果的な取材を実現する - 小規模企業ならではの強みを活かす
– 機動力や独自性、地域密着など、大企業にはない魅力をアピールする - フォローアップを丁寧に行う
– 情報提供後や取材後の追加情報提供などで誠実な対応を心がける
単なる宣伝ではなく社会的意義や読者・視聴者の興味を引く内容を考え、基本をしっかり押さえたプレスリリースを作成しましょう。また、配信のタイミングを戦略的に選び、データや第三者の声で裏付けを取ることも成功のカギとなります。
メディアの閑散期を狙ったり、取り上げられやすいネタを選んだりするテクニックも積極的に活用すべきでしょう。そして何より大切なのは、一度や二度の失敗であきらめないことです。
継続的な情報発信と改善を重ねながら、メディアとの信頼関係を徐々に構築していくことで、やがて大きな成果につながります。効果的なPR戦略で、自社の認知度とブランド価値を高めていきましょう。